オマエは倉庫会社の社長だけやってりゃ充分なんだよ!(小紫芳夫)
平成11年2月、我が国に於ける臓器移植法施行後初の臓器移植手術が行なわれた。当時の報道は一例目という珍しさも手伝って、全国密着生中継という異常な程の加熱報道であった。
ところが人の噂も七十五日、飽きっぽい日本人は臓器移植云々というニュースに、現在では見向きもしなくなった。
 それを良いことに、かどうかは分からないが〔社団法人〕日本臓器移植ネットワーク会長の小紫芳夫が移植ネットを私物化し、完璧な恐怖政治を敷いているというのだ。
 人の生命に与る機関が、一人の独裁主義者によって不公正・不公平・不透明な方向へ導かれるような事は決してあってはならない。
ということで、今月号から本紙連載決定!とくとご覧あれ。
 渡る世間はカネとコネ

 そもそもこの移植ネットの前身は、会長である小紫が2人の娘を腎臓病で亡くした事を契機に私財を投じて発足させた「腎臓移植普及会」であった。もちろんこの段階では、全国各地にある民間の腎臓バンクの一つに過ぎなかった。
 ところが何故かこの「腎臓移植普及会」を唯一の臓器斡旋団体にすることが決定。平成九年の臓器移植法施行を機に「社団法人・日本臓器移植ネットワーク」へと大変身(?)を遂げたのである。
 職員は31人で、全国7ブロックに17人のコーディネーターを配置し、登録された患者からレシピエント(移植を受ける患者)を選定したり、ドナー(臓器提供者)の家族から提供の意思確認を取ったりと、正しく臓器移植の斡旋を一手に取り仕切り、平時には移植コーディネーターの育成やドナーカードの配布、移植医療の啓蒙等を行っている団体である。

 ここで「普及会」が何故唯一の臓器斡旋団体に成り得たのかについてだが、やはり小紫の集金力や人脈がその大きな理由のようだ。
 小紫は移植ネット会長の他にも、父親が経営していた倉庫会社『(株)横浜倉庫』を譲り受けて社長を引き継いでおり、日本馬主協会連合会の会長も務めている。後ほど詳しく述べるが、これらの組織から膨大な額の寄付金を移植ネットに注ぎ込んでいるのだ。
また昭和61年には腎臓移植普及の功労者ということで、厚生大臣から感謝状も受けている。
 これら「カネの力」と腎臓移植普及に貢献した「篤志家」というイメージを武器に、大物政治家や官僚達と太いパイプを築き上げていったのである。
 その政官界とのパイプはダテじゃ無い。平成7年に行なわれた横浜倉庫の新社屋落成式には、中曽根康弘橋本龍太郎がお祝いに駆けつけたほどである。
 更に小紫は、自らの名前を取って『紫芳庵』と名付けた料亭を赤坂の一等地に所有し、こういった政治家や高級官僚の接待に用いているのだ。

 もともと、この移植ネットの会長から小紫を外した方がいいという意見は内部にもあったのだが、補助金だけでは運営が厳しいのも事実で、結局は小紫の集金力に頼らざるを得ず現在に至っている。
 臓器移植法成立の旗振り役を務めた元外務大臣の中山太郎代議士も週刊誌上で次のように語っている。
「ネットワークはそもそも国から多額の補助金(約8億円)を貰っているのだから、公正・公平に運営されるべき。国民から誤解を受けるような事があってはならない。しかし特定の個人の寄附に頼り、その個人が運営に携わっていいのかどうか疑問です」(週刊新潮平成10年4月9日号)

 小紫よ、公金はお前の金か?

 そんな中山代議士の嘆きを知ってか知らずか、小紫は移植ネットを完全に私物化している。
 例えば理事会の席上、自分への反対意見が出ると、それを絶対に認めない。自分の愛人やその子供などを何人も職員に採用し、イエスマンで回りを固め、自分に批判的な意見を持つ専門医は理事には選ばない。
 移植ネットの事務室には横浜倉庫の社訓を堂々と掲げ、その経理には横浜倉庫の社員を出向させて担当させるといった具合である。
 また、愛人との間の子供である森達郎を移植ネットの常勤理事に据えて、毎日のように電話で指示を与え自分の御都合で運営を行なっているのである。

 この森常勤理事も父の掲げる「公私混同」精神を忠実に受け継ぎ、移植ネットの「小紫商店化」に精力を注いでいる。
 例えば全国のコーディネーターは各ブロック長の管理下に置かれているが、森は(父と同様)医者でもなければ医学的知識も経験も無いくせに、ブロック長を無視して「本部命令!」を得意文句に勝手にコーディネーターを操り、トラブルを招くという事が度々あったらしい。
 以上はホンの一例に過ぎないが、こういった私物化に呆れ果てて辞めていく職員が後を絶たず、過去にはコーディネーターが集団で辞表を提出するという内紛騒動まであったというのだから尋常ではない。
 また平成11年6
月の人事異動で、小紫や森に絶対服従のイエスマン以外は全て理事職を解かれ、或いは委員会から外されたこともあった。

 ネットワークとは聞こえが良いが、職員は皆「疑心暗鬼」にかられ、お互いに監視し合って、少しでも現体制に異論を唱えようものなら即座に密告されて首が飛ぶという、北朝鮮さながらの恐怖政治が敷かれているというから驚きである。

 ところで前述の馬主連についてだが、全国には10箇所の馬主協会があり、JRA(中央競馬会)から年間70億円以上の「競争協力金」が交付されている。
 小紫が会長を務める日本馬主協会連合会は、それら10箇所の協会の上部団体にあたり、当然の事ながら各協会からその協力金の一部が上納されている。
 ところが、10箇所の協会が全て社団法人化されているにも拘らず、その上部団体である馬主連だけが未だに任意団体なのである。
 JRAは再三に亘り法人化を要請しているが、小紫が首をタテに振らないために実現されないそうだ。
 これは言うまでも無く、法人化されて監督官庁ができてしまうと今までのような自由な運営が出来なくなるからである。裏を返せば小紫は、これまで何らの監督や規制を受けることなく公金を自由に扱って来たのだ。
 役人どもや政治家は一体何をしているのか。こういう時こそ怒りの鉄槌を下すべきではないのか。

 当紙糾弾で会長職追放
移植を待つレシピエントの為にも、一刻も早い解決が望まれる(移植ネット本部が入居する港区虎ノ門の彩翠ビル)

 誰も怒らないので、当紙は徹底的に怒っている。既に公開質問状を小紫芳夫や森達郎、その他移植ネットや馬主連の関係者に送付済みである。
そんな当紙の抗議行動が功を奏し、4月9日に行なわれた日本馬主協会連合会の理事会が大紛糾。この期に及んで「会長は私しか居ない」と豪語する小紫の傲然たる態度に、約六十名の理事の大半が憤慨。小紫の任期満了(4月9日)に伴なう辞任を強く求め、小紫は会長職を敢え無く解任へと追い込まれた(解任というより“追放”といった方がより正確か?)

 脳死を「ヒトの死」と定義付ける臓器移植には、依然として医学的見地から、或いは宗教的な立場から異論が絶えない。また、移植法施行後第一例目となった高知県でのケースでは心臓移植のレシピエントを選び間違え、優先順位二位の患者に連絡が行く等、移植ネットによる信じられないミスも起こっている。
 しかし、臓器移植法が施行された以上、ドナーやレシピエント、そのご家族の善意、期待、生命を踏み躙るようなことがあってはならない。その為にも今後、当紙は小紫の移植ネット会長職辞任を訴え、抗議を続けなければなるまい。
以下次号に乞うご期待!

 
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