ワン切り、消火器、ネズミ講、迷惑メールに結婚相談、原野、内職、霊感商法、マルチに利殖にキャッチセールス…。
 その昔、五右衛門さんも「浜の真砂と悪徳商法の種は尽きまじ」と詠んだかどうかは知らないが、不景気の昨今、サギ野郎どもの横暴が目に余る。
 「どうして俺が選出されてないんだ!」との不満の声もありましょうが、そういう方は本紙編集部までご一報いただくとして…ケイテンオールスターゲーム、夏を待ちきれずに『プレイボール!』
 
 

悪徳業者四連発、栄えある1番バッターは、ホームラン数は少ないものの、根拠の無い効果・効能を謳った誇大広告で消費者の購買意欲をくすぐって高い出塁率を誇る「二束三文グッズ販売業者」(本紙の独断で命名)である。
 商品単価は他の業界ほど高額ではないが、薄利多売で悪銭をかすり取るその姿は、正しく駿足を活かしてコツコツと塁を進める1番バッターにピッタリだ。誇大広告の奥義(?)を篤とご覧に入れよう。

 
 体験談を創作
夢のような謳い文句が並ぶ福寿堂のチラシ。財布を買えば宝くじが当たるなんて、そんな馬鹿な…
 あれは昨年の暮れのことであった。筆者が、この冬の寒さ以上に寒〜い懐を暖めようと、1年最後の運試しとばかりに購入した年末ジャンボ宝くじに夢を託しつつ、「もしも3億円当たったら。」などと物思いに耽りながらある新聞の朝刊を読んでいた時のことだ。次のような記事に、筆者の目が釘付けになった。

《【五鯉躍“風水財布”は創作】【公取委が排除命令】

 財布の販売で「中国四千年の風水奥義を凝縮。お金がたまる」などと謳い、創作した虚偽の体験談や根拠のない効果を新聞折り込み広告に記載したとして、公正取引委員会は5日、景品表示法違反(優良誤認)で通信販売業(株)フジアートグループ(新宿区百人町1-15-8・長井実社長)に排除命令を出した。

  公取委によるとフジアートグループは2001年10月頃から、持ち歩くだけで金運が高まる「風水・五鯉躍(ごりやく)サイフ」16,700円から17,500円で販売。

 昨年5月から6月にかけ、全国の新聞折り込み広告に「ジャンボ宝くじが当たった」「競馬で大もうけ」などの複数の体験談や、「高周波のエネルギーが発生している」とする中国の科学者の実験結果などを掲載した。しかし体験談のほとんどは自社の創作で、体験談に添付された顔写真はモデルを撮影したものだった。中国の科学者は実在すらしなかった。

 同社は昨年8月までにこの財布を約19,000個販売し、約3億3,000万円を売り上げていた》

 確かに、世に数多ある悪徳商法の一般的な被害額と比較すると、商品単価は安い。商品を手にした消費者も、生活を脅かされるほどの打撃は受けなかったかもしれない。

 しかし、こんなもので3億円も売り上げるとは、まさに「塵も積もればマウンテン!」である。宝くじにささやかな夢を託していた筆者も、新聞記事より先にこの業者の広告を手にしていたら購入してしまったかもしれないほど、購買意欲をソソる危ないフレーズである。

 
 公取委大忙し

 昨今、日本人が古くから持つ信仰心や、健康や環境などに異常なほど気を使う消費者の心理に付け込んで「身に着けるだけでお金が貯まる」「ダイエット効果がある」などという虚偽の体験談や存在もしない医学博士なる人物の研究結果を掲載することにより、恰も購入するだけで「効果」が得られるかの如く消費者を錯覚させ自社の商品や器具を販売する、いわゆる誇大広告による被害が社会問題となっている。

 一口に誇大広告と言っても、多少大げさに宣伝してしまうくらいは商人のご愛嬌で許容の範囲と言えなくもないが、「身に着けただけで宝くじの1等が当たった」「億万長者になった」などと「主婦○○子さん」なる女性の虚偽の体験談を写真付で掲載した場合などは、すでに誇大広告の範疇を超え、詐偽罪に相当するものであると言わざるを得まい。

 ある業者の広告に掲載された体験談にこんなものもあった。「父親が会社を倒産させて1,500万円の借金を残して蒸発してしまった桜子さんは、大学へ行くのを断念し、朝は新聞配達、深夜は牛丼屋で働き詰めの毎日を送っていたが、このペンダントを身に着けたとたんに運気が上がり、バイト先の牛丼屋に1日置きにフェラーリで食べに来る青年と知り合い、結婚して億万長者になった」という内容であるが、ここまでくると呆れて爆笑してしまう。もし仮にこの桜子さんが実在の人物なら、この体験談を基に綿矢りさちゃん(最年少で芥川賞を受賞)あたりに脚本を書かせ、テレビドラマとして放映すれば、大ヒット間違いなしの素晴らしい“物語”なのだが…。

 また、この夢のようなアイテムを小泉首相か谷垣財務大臣に教えてあげて、我が国の景気回復のために是非とも国家予算で購入してもらいたいものだ。

 しかし、誇大広告の力を借りなければ売れないような商品が、その謳い文句通りの性能や効力を発揮することなどあろう筈がないのだが、それでも、藁にも縋る思いで購入してしまう多くの消費者が存在するのも、また事実である。

 あれほど「オレオレ詐欺に気を付けましょう」と、至る所で注意を呼びかけているにも拘わらず被害が一向に無くならない(昨年1年間の被害総額は43億円を超えている)要因は、「誠実で人を信じ易い」という日本人の気質によるものだろうか。

 先月、公正取引委員会が排除命令を出した日本通信教育連合会の販売していた「伸長法講座」もその典型であろう。実在する女優や歌手の体験談を掲載し「受講生の八割が5センチ以上も背が伸びた」「世界各国のプロスポーツチームで採用」などと広告に記載して年間42億円あまりも売り上げていたそうである。

 女優や歌手は写真のモデル契約をしていただけ体験談は全て虚偽であり、スポーツチームが採用した実績も全くのデタラメだったとか。

 
 今後は自粛?
場末のラブホテルと見紛うほどの瀟洒な建物・福寿堂のビル

 さて、そんな誇大広告を巧みに用い、これまで様々な商品を世に放ってきた老舗が、荻窪駅前に自社ビルを構える『福寿堂』(株)ダイヤモンドヘッド・杉並区上荻1-15-12・菊義光社長)である。

 財布から絵画といった多種多様の商品を扱っている同社だが、その何れの商品も「宝くじが当たる」などの効力があると広告に謳っている。この謳い文句が全て事実だったら、これまた小泉総理に献上したい程、それはそれは素晴らしい品揃えなのである。

 因みに筆者が、個人的な趣味(福寿堂フアン)もあって、この福寿堂に「広告に掲載されている内容が事実ならば素晴らしい!私も商品を購入したいので、お願いだから宝くじに当たった人に会わせてチョ」と鼻息も荒くチョットばかし興奮気味だけど好意的に取材を申し入れたところ、何故か「近づいちゃダメッ!」と訴えられてしまった(変態と思われたのかな?)。

 しかも、顧問弁護士を通じて『宝くじが当たった』という広告について「納得させるような回答をすることは困難です。平成15年11月23日から施工された不当景品及び不当表示防止法の改正に従って、今後このような広告は自粛します」とご丁寧に回答を寄せてきた。

 この法改正は「表示の裏付けとなる合理的根拠を示す資料の提出が出来ないものに対しては(今後は)不当表示とみなす」という趣旨のものであるから、善良な業者には全く関係のない改正なのだけど…。福寿堂ファンとしては真相が闇の中に消えてしまってガッカリである。

 はっは〜ん、さてはご利益のある商品をこれ以上たくさんの人に知られるのが惜しくなって独り占めしたくなったんだね…。菊チャンってばズルイッ!
(つづく)

 

 
さて、お次は「景品が当たった」等の電話を掛けて若者をおびき寄せ、電話の時点では勧誘しないでアポ(約束)だけ取っておき、後日営業所に連れ込んでから高額商品のローン契約を迫る、アポイントメント・セールスである。
 
 「モニター」という罠
メディアステーションとその親会社が事務所を構える、渋谷のとあるビル。ガキを騙すにはやっぱり渋谷が一番か。
 奇遇なことに、先日、筆者はある友人M氏(男性)よりこんな相談を受けた。

 なんでも、携帯電話に突然見ず知らずの若い女性から電話がかかってきて、その女性が「会いたい」というから会いに行ったら、最終的には「英会話教材を買って欲しい」と言われ、100万円以上のローンを組むように誘われたが、どうしたらいいだろうか、という相談だった。

 M氏の話を纏めると、事の顛末は以下の通りだ。

 初めて掛かってきた電話で、その女性は名前をミカ(仮称)と名乗り、何やらモニターを募集していると言ったそうだ。今ひとつ意味が分からなかった友人は「まぁ相手は女だし、五分程度なら暇つぶしに聞いてみるか」と、テレクラ感覚で話を続けたという。

 電話の女性は、M氏の職業や趣味、恋人が居るか居ないかなど、プライベートな質問を幾つかしてきたという。その話の合間に「Mさんって結構カッコイイとか言われない?」「女のコに結構もてるでしょ?」などと言われ、お世辞だと分かっていながらも「悪い気はしなかった」とM氏。

 更に、話が進むにつれて「旅行(国内・海外)、全国各地の飲食店、ホテルなどに格安の値段で行ったり泊まったり出来るんだよ。いま、そのモニターを募集しているから話だけでも聞きに来ない?」と誘ってきたそうだ。

 M氏が「お金がかかるんじゃないの?」と聞くと、「今回はモニター募集だからお金は必要ないよ」と言うので、話だけでも聞こうと思い、会うことにした。

 後日、渋谷駅より徒歩五分程の待ち合わせ場所に行くと、結構可愛らしい女性=ミカ(仮称)が事務所まで案内してくれたという。辿り着いた場所は『株式会社メディアステーション』(渋谷区渋谷1-13-5・大協渋谷ビル6F)という所だった。

 事務所に通されたM氏のテーブルに、ミカがウーロン茶を運んできてくれた。「ちょっと待っててネ」と奥の方へ入って行くミカ。

 ―「ミカってカワイくて、やさしいなぁ…」―

 恋人の居ないM氏は、久し振りにカワイイ女性に優しくされたせいか、これからモニターになるための手続きが済んだら、その特典で安く利用できる宿にミカを誘おうかとまで考えていたという(このスケベ)。

 程なくして、奥から何やら分厚い資料を持ってミカとその先輩らしき女性が現れた。電話でも話していた内容を、今度は資料を交えながら説明する。

 『旅行や様々なイベントなどのモニターになってくれる人を、いま探してるんです」。ミカが微笑みかける。

 ―やっぱりカワイイなぁ、あー、もう彼女にしたい

 
 狙いはローン契約

 ふと我に返り説明に耳を傾ける。確かに資料だけ見ればかなり格安で旅行に行けるし、いろんな所に遊びに行ける。それにミカとも良い仲になれるかもしれない。モニターになろうかとも思ったが、ウマい話にはウラがあるかもしれないと思い、とりあえず用心深く「考えてから返事するよ」と答えると「いま決めてくれないとモニターになれない」と言ってくる。

 しかもモニターになるには『英会話教材12枚組みCD-ROM』を購入(今すぐこの場で契約)し、毎月3,000円の会費を払わなければいけないというのだ。アレレ?話が違うんでないの?電話では、間違いなく「お金は一切かからない」と言っていた筈だ。

 教材の値段は、クレジット契約で月々19,100円の60回払い、総額111万4,600円だという。

 不審に思ったM氏が「それなら契約書を見せて」と言ったら「契約しない人には契約書は見せられない」と答えたという。

 いったいどういうことなのか。一般的に考えて、契約するに当たって先ずは契約書を見せて説明するのが常識ではないだろうか。

 「タダで特典が得られるモニターを募集している」という、美味しい話と色仕掛けで待ち合わせ場所に誘い出しておきながら、待ち合わせ場所から営業所に直行。営業所に足を踏み入れた途端、商品を説明。そして突然「モニターになるには契約が必要」だと言い出し、「この場で契約しない人には契約書は見せられない」という。契約しない客にはしつこく勧誘して何時間でも返さない…。これがマトモな会社の営業なのだろうか。正にアポ商法の典型的な手口ではないか。

 よくよく周りを見てみると、同じ様に電話勧誘されて鼻の下を伸ばして来ている男性が数名いたという。

 後日、本紙が(株)メディアステーションの社長に取材に行ったところ、下っ端の社員が出て来たが、本紙の質問に対して何も答えることも出来なかった。まあ、例え客を騙していたとしても「騙してます」などと正直に答える馬鹿はいないだろう。

 
 子が子なら…

 しかしこの(株)メディアステーションという会社、よくよく調べてみるとどうも“親の背中”を見て育った会社らしい。

 (株)メディアステーションの親会社は『インターナショナル・ホライゾンス(株)』(社長=塩瀬国生)といって、(株)メディアステーションが入居するビルの八階に本社を構えているが、同社は過去に約10億円の所得隠しが発覚し、法人税法違反で東京地検特捜部に告発されたという、輝かしい過去を持つ親会社なのである。

 他にも、このインターナショナル・ホライゾンス(株)の子会社で、日本イークオール(株)(旧社名:ユナイテッドウェイ(株))という会社の広島支社においても、平成13年に逮捕者が出ている。聞くところによると、架空の団体名の印鑑を使って選挙人名簿を不正に入手したとかで、偽造私印使用の疑いで幹部社員を含む5名が逮捕されたらしい。

 このように、関連会社の経歴を見ただけでも、こいつらがどういう業者なのかがだいたい分かる。

 そもそも100万円以上もする英会話教材のCD-ROMとは、どれぐらい凄いものなのか?いっぱい聞けて♪いっぱい喋れる♪とウサギが歌うCMで有名な某英会話学校でさえ、そんなに高額ではない筈だが…。

 きっと(株)メディアステーションの社員の皆さんはBILINGUAL(英語がペラペラ)に違いない。

 是非、全社員のTOEICやTOEFLの得点数を公表して戴きたいものだ。全社員が高得点だったら、筆者もCD-ROMを購入してみようかな〜?
(つづく)

 

 

 さあ、打順はいよいよクリーンナップへと回って来た。3番バッターは皆さんのお宅へお邪魔したこともあるかもしれない、現代版「押し売り商法」だ。
 近所で様子を窺っている読○新聞の拡張員を大声で蹴散らし、郵便受けの辺りで薬箱の中身をチェックしている富山の置き薬のお兄ちゃんにひじ鉄を食らわせながら玄関へと突進。気を許してドアを5センチ開けた途端、目にも留まらぬ早業で隙間から片足だけスライディング!狙った獲物は逃さない。
 そして上がり込んだら最後、押してダメなら引いてみなとばかり、得意の脅し賺しで主婦が観念するまで居座る様は、右へ左へとファウルを放ちつつ、ランナー生還という使命を達成するまで必死で投球にタイミングを合わせる3番バッターを彷彿とさせる。
 “執念”のバッティングは一見の価値(?)あり。

 
 同業者も非難

 強引且つ悪質な手口によって、弱者や老人に高額な商品を売り付ける、現代版「押し売り業者」が巷に溢れている。訪問販売の原点ともいうべきこの押し売りも、ひと昔前は可愛いものであった。扱う商品もゴム紐や石鹸といった安価な日常雑貨が殆どで、消費者側も「まぁ仕方がないか」程度の軽い気持ちと、ちょっとした人助け的な側面があったと思う。

 しかし、この古き良き時代の「風俗」とも言うべき押し売り商法も、今では悪質商法の代表格へと変貌を遂げ、当時のほのぼのとした面影は微塵も残っていない。各市町村の消費者センター特殊法人国民生活センター(以下「消セン」)には、この手の押し売り商法業者に対する苦情が殺到しているのが実情だ。

 さて、一言で押し売り商法といってもその業態はさまざまであるが、際立つ悪質性を持ち、消センでの累積苦情件数が群を抜いているのが「自称・高級羽毛布団」を販売商品とする寝具業界と言われている。

 その寝具業界に於いて多数の同業者から「いくら何でも、ウチはあそこまで非道ではない」と名指しで非難を受けているのが『アルファーコーポレーション』(相模原市矢部1-12-15)と、同社代表の荻野真哉である。

 同社の営業形態は電話による勧誘を主体としているが、消費者の迷惑を顧みない長時間に亘る勧誘や、二度も三度も電話する執拗な営業手法が、悪質な同業者達の目にも一際ヒドく映るのだろう。ましてや、商品使用時の健康に関する講釈や、実体の無いサービス説明など、根拠にも乏しく虚偽とも取れるこれらを駆使する手法は、最早犯罪行為といってもよい。

 事実、同社の販売方法が『不適正な取引行為』に該当するとの事で自治体から呼出しを受け、業務改善を主とした行政指導まで課せられている。にも拘らず、荻野真哉は同社の販売方法を改めることなく、取り敢えず改善の約束だけしておいて、実際には従来通りの違反行為を今日も繰り返しているのだ。

 
 存続の危機?
アルファーコーポレーションが本社を構える相模原市内のマンション
 悪質商法業者に対する自治体の処分(改善指導・是正勧告等)に素直に従う業者も中にはいるだろうが、アルファーコーポレーションのような、処分を屁とも思わない厚かましい業者も多い。更に、処分を受けたことによって監視の目を逃れようと手口が巧妙化する“悪循環”も起きている。

 「自治体が下す行政処分の効果は絶大だ」と、自らの権力を過分に評価するその甘い認識こそが、悪質業者を野さばらせ消費者への被害を更に拡大させているという実態を、自治体は知るべきである。

 では、行政指導も全く効果無しのアルファーコーポレーションは、このまま業界に居座り続ける事になるのか?どうやら最近の同社を取り巻く環境を見ると、会社存続の危機に直面しているようなのだ。その最大の原因が同業者との顧客の奪い合いによるもので、ここ最近は頻繁に衝突を繰り返しているらしい。

 そもそも寝具販売の業界は、過去に商品購入の記録がある世帯に再度販売を仕掛ける方法が一般的な手法とされている。つまり、顧客の新規開拓といった労力を使わずに、限られた購買層に対し営業を行っているので、数多ある業者が同一の顧客に相乗りすることが多いのだ。

 
 ハイエナの如く

 そこで、バッティングした際に荻野真哉率いる同社営業社員が打つ手に、相手業者の商品を貶めたり、問題の多い業者であることなどを切々と伝えるという手法がある。或いは、相手業者を自社の下部組織であるかのように装って「あれはウチの営業部隊です。商品の注文はウチへ」などとホザくのだ。無論、相手の素性など全く知らない上でのその場限りの嘘である。

 “悪質”といわれる業界にも、それなりのルールは存在する。業者間の争いに顧客を巻き込めば問題は直ぐに表面化し、結果、双方共倒れになるのは必至である。共存共栄を図る上での最低限の仁義(ルール)さえも弁えない荻野真哉の数々の掟破りの行為を、同業他社が苦々しく思うのも無理も無い話だ。

 今後、自治体の監視が強化され、同業者の恨みも相まって業界での孤立化が一層進む中、他社との衝突に敗れて業界を去るか、自治体から「業務停止命令」を食らって会社解散の憂き目にあう事が考えられる。何れにせよ荻野真哉の生き残る術は、最早尽きたと言っても過言ではない。

 ご自慢の高級布団に包まり枕を高くして惰眠をむさぼっていられるのも今のうち、夢から覚める日が必ず近いうちに訪れることだろう。当然、本紙とて高みの見物を決め込むつもりは毛頭ない(目覚まし時計を持ってご挨拶?)ので覚悟のほどを。
(つづく)

 
 

 さあ、いよいよ主砲の登場だ。世に数多の悪徳商法あれど、悪徳金貸しほど獰悪な存在は他にあるまい。
 債務者が返済できないなら逆さ吊りにして鼻血を出させ、その血を売ってでも債権回収(イメージによる例え話です)、それでも駄目なら弁護士を駆使して保証人の財産をとっとと差し押さえ、金目のモノを一つ残らず根こそぎ取り去っていく様は、満塁ホームランでたまっていたランナーを全て生還させ、グラウンドを気持ち良いくらいに一掃してしまう4番バッターに酷似。
 これぞ悪徳金融の真髄、必見!“主砲の意地”。

 
 必殺技「根保証」
日栄社員時代に学んだ「非情な金融学」は未だに健在(大島健伸社長)

 旧・商工ファンド=現・株式会社SFCG(中央区日本橋室町3-2-5・大島健伸社長)が創立されたのは昭和53年の末。以後、第三者保証人付きローン(商工リボルビングローン)なる商品を主力に急成長を遂げて今日に至る。

 「根抵当」という言葉は以前からあったが「根保証」なる造語を世に広めた大島健伸(並びに日栄松田一男社長)の功績は大きい。

 根保証とは、債務者が百万円しか借りなくても根保証額が1,000万円の場合、保証人は1,000万円の保証を行なったことになる。契約時に債務者が百万円しか借りないため、多くの保証人は自分の保証額を100万円と思い込む(暗にそう思い込ませる)。

 その後、保証人に一切の連絡・通知も無しに債務者に追加融資を行なう(例えば300万円の追加融資を3回行なう)。そして債務者が返済できない場合(或いはトンズラこいた場合)、保証人に1,000万円の返済を迫る、といったものだ。

 もちろん多くの保証人が「100万円なら払うが、追加融資の900万円は聞いてなかったから払わない」と反論するが、あっという間に給料等の財産が差し押さえられてしまう。

 貸した相手を切ってでもカネを取り返してくる「切り取り」は、極道の世界の話であってカタギのやることでは無いが、自らの手を血で汚すことなく強制執行という名の刀で相手を斬りつけるその狡猾さは、正しく悪徳金貸しの悪徳金貸したる所以と言うべきか。

 
 変則技「人騒がせ」

 このような手法を用いて一世を風靡した商工ファンド、日栄だったが、その後この両社による根保証が大きな社会問題となり、平成11年11月11日の参院財政・金融委員会に両社長が参考人招致を受ける。

 その後、翌12年6月には、それまで年40.004%だった出資法の上限金利29.2%にまで引き下げられるなど、奴らの悪業が法改正をも促す結果となった。

 ところで、一口に金利と言っても「利息制限法」上の金利と「出資法」上の金利とがある。

 利息制限法は民事上の規定なので仮に業者が違反しても罰則は無い。元本額に応じて年15〜20%の上限金利が定められている。

 一方の出資法は上限金利29.2%で、違反した場合3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金に処せられることがある。

 例えば100万円以上を借りた場合の利息制限法の上限金利は年15%。もしも年20%で借りて利息を払ったとしたら、利息制限法超過部分の5%の金利は無効となり、その分を元本の返済として計算することが出来る。

 但し、これは債権者と交渉して納得させることができた場合の話であって、一般人には不可能に近い。従って、多重債務に陥って弁護士に依頼した場合などに限られる。

 以上のような理由から、違反すると刑事罰が科せられる出資法の上限金利が重要視されるのは自明の理であり、事実上多くの業者が利息制限法上の金利を無視し、20〜29%の、所謂「グレーゾーン」と呼ばれる金利で金貸しを行なっている。

 さて、債務者だって馬鹿じゃない。商工ローンの被害が問題視され、大島健伸と松田一男が参考人招致を受けるより遥か以前の平成6年頃から、債務者や連帯保証人が返済した利息のうち利息制限法上の金利との差額の返還を求める「利息の過払い金返還訴訟」が各地で相次いでいた。ただ泣き寝入りするだけの債務者もいれば、法的知識を身につけ理論武装を行い、勇気を持って立ち上がる債務者も現われ始めたのだ。

 
 荒技「強行執行」

 ところが、商工ファンドはこれらの提訴を牽制する対策を即座に打った。契約の際に債務者と保証人に提出させる重要事項確認書の「利息及び遅延損害金の支払いについて」という事項の中に「私共は、弁済に関し利息制限法を適用する旨の主張は行なわないことを確認します」という一文を設けたのだ。何という狡猾さだろうか。

 結果、書類への記入を急かされてその文言を見落とした債務者・保証人やその弁護団から糾弾の声が上がったこともあって、平成10年6月頃、商工ファンドは重要事項確認書から前記の文言を削除した。

 そしてSFCGとなった現在、同社は「公正証書」を悪用して債務者から絞り取るという手法を用いている。

 公正証書とは、重要な契約や遺言などについて、第三者で法律の専門家である「公証人」が証明する公文書だ。公証人は元裁判官や検察官OBが務める場合が多い。その法律の専門家である公証人が法的に不備の無いように作成した書類が公正証書であり、これには高い証明能力が認められている。SFCGにしてみれば何時出るか分からない裁判の結果を待たずに、強制執行という伝家の宝刀を抜いて金目の物を差し押さえることができる。

 もちろん、カネを借りる際の契約書は何枚も重なった複写式で、公証人への委任状は下のほうにあるため殆どの債務者は自覚がないまま署名・捺印する。

 返済不能に陥った債務者が、前述の「利息の過払い金返還訴訟」を起こした直後に、「報復」として公正証書に基づいた強制執行を行なう。結果、強制執行を受けた債務者は裁判どころではなくなる。

 司法制度まで悪用するとは、「悪徳金貸しの真髄」なんて形容じゃ綺麗過ぎてお釣りが来そうだ。正しく「悪の化身」である。

 さて審査結果の発表と行きたいところだが、個人的な恨み辛みもあるでしょうから、MVPは読者の皆さん一人一人で決めて戴くことにします。

 但し、本紙なりの審査結果は既に出ています。悪徳業者の皆さんには、敬天杯の発送を以ってMVP受賞者の発表に代えさせて頂きますので悪しからず。

 
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